2014年に企画されていた、音MAD対抗戦の第10試合に出した音MADです。自分の予想以上に皆さんに愛されたMADになり、2014年の音MAD10選でも多数の票をいただくことができました。本当にありがとうございます。

この音MADについて、制作側の視点から解説をしていこうと思います。

基本情報

素材曲 POSSESSION

この音MADの素材曲は、DDR(Dance Dance Revolutin) X2に収録されたボス曲のPOSSESSIONという曲です。TAG氏が作曲した曲であり、DDRシリーズのなかでも屈指の人気を誇る曲となっています。

とくにダブルプレイにおいて、DDR X2の時点では最強曲だったため、DDRにおけるラスボス的なポジションでした。私もDDRをプレイしているのですが、POSSESSIONは曲もどの難易度の譜面もとてもやりがいがあるので、DDRをプレイしている人でPOSSESSIONは思い入れがある人が多いのではないでしょうか。

このMADがこれだけ皆さんに愛されたのも、90%くらいは曲の魅力だと個人的には思います。

素材 明日のナージャ!!

明日のナージャは神アニメですが、売り上げが伸びず、おジャ魔女とプリキュアに挟まれて、1年で終了してしまいました。ただ、ナージャのCM素材を音素材として多用しているので、純粋なアニメのナージャのMADとはいえないかもしれません。

CMのなかでも使いやすい「ナージャ・ダンスレッスン!!」という部分を多用しています。全体的に背景でBGMが鳴っていたりするので、あまり使いやすい素材ではないかもしれません。

あと素材がけっこう足りなくてきつかったので、明日のナージャOP「ナージャ!!」からとってきています(曲が素材シリーズ)。

なんでこの組み合わせなの?

これは対抗戦に出す動画だったのですが、当時はブラック企業で働いており、なかなか制作の時間が取れなかったんですね。それでDDRやってる自分としては、とにかく普段から聞きまくってて、音MADがつくりやすそうなPOSSESSIONでつくろうと思いました。あとPOSSESSIONで音MADはずっとつくりたいと思っていたので。

素材がナージャなのは、たしか最初はお題が「マイナー」だったんですよね。最終的に投稿直前になって対戦相手の素材である仲邑飛鳥さんがマイナーかどうかいうことが問題にあがり、「マイナー」から「音ゲーMAD」に変わったんです。

「マイナー」ということで、知名度はメジャーでも、音MAD素材としては結構マイナーなほうで、なによりもおもちゃの売り上げがマイナーだった「明日のナージャ」なら自分の使いやすい素材のなかだとピッタリかなと思って、ナージャを選びました。

音声の制作上のポイント

DDRやってる方はわかってると思うんですが、この音MADの音声素材はPOSSESSIONの激(EXPERT)譜面に忠実につくられています。

自分はDDRの曲でつくるときには、この戦法をよく使っていて、DDRというゲーム自体が曲に合わせてリズム良くパネルを踏むゲームなので、譜面も当然ながらリズムよく配置されています(一部例外あり)。なので譜面通りに音をおいていけば、基本的にいい感じに仕上がるんですね。

このMADも冒頭部分など、一部分で譜面に忠実でないところがありますが、基本的にほぼほぼ激譜面に忠実になっています。この上の難易度の鬼譜面もあるのですが、鬼譜面は連打が増えて、リズムよくというよりもひたすら連打してるところが増えてしまうので、激譜面をチョイスしました。
※最後の最後はあとで解説しますが哲学再現のためDP鬼譜面のリズムを再現。

あとは本当にサッサとつくっていけたと思います。ナージャ・ダンスレッスンとドヤ顔カスタネットが使いやすいので、それを基本として音を配置していって、部分的にナージャの声などを補っていました。

あとは特徴的なのは途中で挟まるOPだと思いますので、それは次項で解説します。

途中でOPを挟むことについて

POSSESSIONの曲の真ん中は休憩地帯的に入って、再び盛り上がる感じなのですが、そのまま音を配置したらなんか間延びした感じの印象だったので、POSSESSIONの盛り上がりに合わせて、ナージャOP曲「ナージャ!!」のサビ前の盛り上がる部分を持ってこようと思いました。

最初に自分がつくったPARANOiA RespectのナージャMADでもOPとEDを素材として使っていたので、途中で曲を素材として使うこと自体はすんなりと案として出てきました。

ただ、そのまま重ねると今度はナージャのOPに切り替わるところがなんか聞き心地が微妙だったので、それならいっそのことPOSSESSIONのほうをオフにしようと。それでナージャOPの盛り上がりに合わせて、POSSESSIONの音量を徐々に上げていくことにして、盛り上がり向けての音(ナナナナ・・)も配置しました。結果として成功したと思います。

原曲が聞こえないという件について

よくこのMADで原曲がわからないとか聞こえないとかコメントがあるのですが、自分だとあんまりよく感覚がわからなくて、POSSESSIONに親しみすぎて、頭で勝手にPOSSESSIONを補っている説が濃厚です。

あとは素材のほうにガッツリBGMが入っていて、それを一切考慮せずにそのまま使ってるのもあるのかもしれないですね。

動画の制作上のポイント

動画は自分の中で勝手に提唱している音MAD理論である、ストロングスタイル音MAD理論に基づいてつくっています。

この「ストロングスタイル音MAD理論(提唱者:ユビュ)」は、

  • 小窓を使わない
  • 過度な動画装飾をしない(色調補正・シャープていどにおさめる)
  • テキストを入れすぎない
  • ユニバースしない(制作当時はユニバースの概念なかったですが)
  • 上記の内容で動画が魅力的になるように、速度変化、左右反転などを駆使してで強引に動きを生み出す

というような考えでつくっており、簡単にいれば昔のムービーメーカーでも頑張れば再現できるようなMADですね。もちろんムービーメーカーではなく、プレミアプロを使ってつくったんですが・・。

ちなみにストロングスタイルの元ネタはDDRで速度変化や停止を含まない譜面のことをストロングスタイルといわれていて、それをそのままパクっています。どうせ自分が自分のなかだけで使う音MAD理論なので・・。

なんでこのような考え方になったのかというと、この前につくったナージャMAD「NADjA PARANOiA LESSONS」の失敗があります。

数年前にできが微妙だったので、つい衝動的に消してしまったのですが、この解説記事のために再うpしました。

見ればわかるのですが、BPM180から300まで加速し続け、初代PARANOiAからパラ鯖MAXまでつなげるという構成はよいのですが、動画編集で小窓の多様、動画背景で主張しまくるPARANOiAのジャケットなどによって、動画面で失敗したなと。

とくにBPM270以降のナージャのダンスシーンを使った部分は、周囲の四つの小窓と中央の主窓に分けられたことで、視点が定まらずインパクトが逆に弱くなってますね。

これが失敗だったと思って、とくにナージャみたいなマイナーな音MAD素材の場合は、下手に動画に凝るよりも素材をそのままぶつけないと見ている側の理解の範疇を超えてしまうんじゃないかと。それにナージャの素材は動きがありますから。

このあたりを反省した結果が 「ストロングスタイル音MAD理論」につながり、ちょうどナージャMADだったので、制作時に(時間がなくて凝る余裕もなかったので)がっつりこの理論に基づいてつくったのだと思います。

もちろんこの理論はどんな曲・素材にも使えるようなものでは無いと思いますが、POSSESSIONとナージャの組み合わせならいけるかなあと。

なぜ手書き?

ナージャのOPのところなんかが手書きなんですが、ナージャMADは削除されるときは削除される素材で、OPの動画などもアウトでした。

音MAD対抗戦の仕組み的に動画投稿後、一定の期間が経ったのちに勝敗を決するということだったので、途中で消されたらまずいなということで、OPの部分は手書きの動画をお借りすることにしました。結果としてシュールな感じになって、むしろよかったかもしれません。

ただ、PARANOiAの時点で使っていた、ナージャのダンスシーンをMADに組み込むことはPOSSESSIONの時点では削除対策を考えて、まったくできなかったので、これは唯一心残りだったかもしれません。これが実現するのは、6年後のEGOISM 440のナージャMADになります。

譜面再現

POSSESSION自体はDDRのダブルプレイのラスボス曲なので、音ゲーMADでたまにやられる譜面再現をしたいなあと思っており、それをナージャの動きで再現しようと思いました。

具体的には0:42~の部分はナージャと女の子の動きで同時押しジャンプ譜面を再現したんですが、誰にも気づかれてないですね。ここは自分でも微妙だと思ったんで、いいんですが。

肝心の譜面再現は最後の1:40~の哲学再現になります。これはPOSSESSIONのダブルプレイ鬼譜面の最後の部分がとにかく左右に振られており、ひどい配置なので哲学と呼ばれていたんですね。それをナージャの動きで再現しようと、ナージャが左右に激しく動くようになっています。

ただ、これも今となっては再現って書いてくれる人がいて嬉しいんですが、投稿した当時は誰もコメントで指摘がなくて、がっかりした記憶があります。

ここだけはストロングスタイル音MAD理論とかにこだわらずに譜面再現が一発でわかるようにしとけばよかったですね。右上に譜面動画配置するとか、それがこの音MADでのいちばんの公開かもしれません。

コメントで下の方に「DP鬼譜面プレイ中」とか書かれるかなと期待してたんですが、なかったですね(悲しい)。

まとめ

長々と書いてきましたが、基本的にこんな感じですね。ナージャMADとしての基礎は二つのPARANOiAの音MADでつくられていたと思うので、それがPOSSESSIONという人気曲に乗ったことでよい化学反応を起こしたということかなあと思っています。

あとはDDR曲で音MADをつくって、譜面を参考にして音MADをつくるのは超オススメです。

ストロングスタイル音MAD理論については、まあ「こいつ、何言ってるんだ」ていどに思っていただければ、これもなにかの参考になれば光栄です。

先日に超晒しに投稿したEGOISM 440のナージャMADの解説記事を書こうと思ったのですが、そのためにはまずこちらを書かなければということで、こちらを先に書きました。近日中にEGOISM 440の解説記事も書こうと思いますので、それもよろしくお願いいたします。